視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


「さあ、セツ?あなたは現世に戻るの…。」


「お母さんっ!でも、香里奈達がっっ!!」


「…大丈夫。私と、お父さんで解放するわ。この世界から帰る人間が出ると、【MOYA】はしばらくの間何も出来なくなる…。だから、私達は抜け出せたの。」


「でも…お父さん…は…」


「私達が魂に戻らないと…救えないの…。」


私が画面に目を向けると、お父さんが自分の首に包丁を突き立てているのが見えた…。


「お父…さ…ん…。」


私は顔をそむけながら、両手で顔を覆い隠した…。



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