視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


「セツ…?」


優しい声で、お母さんが話しかける…。


「お母…さん…。」


「栄は、私達が連れて行くわ…。あなたを一人にしてしまって…ごめんなさいね?」


「…そんな事っっ…。」


お母さんは、みるみるうちに広がっていく《白い靄》に包まれていく…。


「たった一年間でも、あなたの親になれた私達は…幸せだったわ…。」


涙が溢れだし、頬を濡らしていく…


「愛してるわ…セツ…。」


一面に広がった白い世界は、眩しい位に光を増してお母さんの姿を消していった…






「お母さんっっ!」




















「私も…愛してる…っっ。」
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