視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~

私と長田さんが靴を履いている時に、香里奈の家のチャイムが鳴り響いた。

長田さんが扉を開けると、そこにはスーツを着た男性が二人と、白衣を乱雑に羽織った男性が一人立っていた。

長田さんは、白衣を着た男性に、
『斉藤は奥の部屋で眠らせてある。そのまま連れ帰って様子を見てくれ。』
と、そう言い、他の二人には玄関で待機する様にと告げて、私と二人で家の外へと出る。


ふと、庭へ続くスペースに目をやると、そこには数本のペットボトルが入った白いビニール袋が落ちているのが見えた。

近寄ってそれに触れてみると、まだ冷たい事が分かった。


買ったばかりの物かな?
これ、おばさんが買ってきた物?
それなら、おばさんは…どこ?


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