視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~

香里奈のお母さんを探す様に辺りを見渡す。
だけど、周りに私達の以外の気配は感じられない。

そのビニール袋を持ち上げてみると、ビニール袋の脇に赤い物がべっとりと付いているのが見えた。


「きゃあぁっっ!!」


そう叫んでビニール袋を投げ捨てると、
『どうしたんだい?!』
と駆け寄ってきた長田さんと一緒にそれを見下ろした。


ビニール袋に付着したその【赤】は、
たちまちスゥー…と消えていく…。




それが何を意味するのか、私も長田さんにも分かったんだ。




香里奈のお母さんまで…

【黒い靄】に引き込まれてしまったのだと…





< 69 / 252 >

この作品をシェア

pagetop