forget-me-not



「はあっ?
あんた迷子だったの?」


イオの話を聞いた少女は、青の瞳を丸くして笑った。明るく豪快に笑う少女に、イオは親近感を覚える。


「私、旅人なのに地図読むの苦手なんだよー。
この辺りにある村に行こうとしてたんだけど…迷子になっちゃった」


手に持ったしわしわの地図を一瞥し、イオは困ったように笑ってみせる。


「へぇ…あんた旅人なんだ。
この辺りの村って…ナギア村のこと?」


少女の問いに、はっとしたイオは地図を広げて見てみる…。

慣れない手付きで地図を追えば、ナギアの文字が目についた。
イオの表情がぱっと明るくなる。


「そうそうっ、ナギア村。
私、そこに行きたいんだ」

イオは地図を少女に見せ、ナギアを指差した。


「そっか。なら丁度よかった。

あたしもナギアに行きたかったんだ。よかったら一緒に行く?」

「行きますっ」


イオはもちろん即答だった。

まさかこんなに都合のいいことがあるなんて…。


そのときふとイオの頭に浮かんだのはあの青いネックレス。


“私のこと助けてくれたの…?”


青い小さな宝石は、光を集めて遠慮がちに煌めく。





「あ、そういやまだ自己紹介してなかったね。

あたしはレオナ。旅人だよ」


派手な金髪の少女、レオナ。
黒いレザージャケットを羽織り、ショートパンツに黒いブーツを合わせたレオナは、イオの目に格好よく映る。


「レオナ、ボーイッシュで格好いいねー。

私はイオ。よろしくね」

「ああイオ、よろしく」


レオナは、屈託のない笑顔を見せるイオに海の青をした瞳を細め笑った。


< 132 / 135 >

この作品をシェア

pagetop