「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「どうせ、デブ、ブス、メガネだろ?」

すかさず引き留めようと背中に投げられた言葉も不愉快極まりない。多分、悪気はない。いや、あるかな? どっちでもいいわ。



仕方がないからゆっくり振り返れば、肩をすぼめてくしゃっと笑ってみせる。


どうやら俺に構って欲しいみたいだ。暇だな、こいつ……。



「残念だけど……どれも当てはまんねぇわ。まぁコンタクトだから、そこは大目にみて半分正解にしてやんよ」


「相変わらず上(うえ)目線だよな、お前。ムッカつくわー」

言いながらも、ヤツは嬉しそうにクツクツ笑った。



こいつに会った10人中10人が、超有名イケメン俳優に似ていると絶賛する。確かにそっくり、それは否定しない。

確かにイケメン。これも否定しない。


ただこいつ、髪型をわざとらしくその俳優と同じにしているところが、確信犯的で鼻につく。



そして、女関係にだらしない。



俺の元カノの浮気相手――

――――城之内雪成(じょうのうちゆきなり)。


< 136 / 241 >

この作品をシェア

pagetop