「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」




うおぉぉぉぉぉ……。


これは俺の心の中の声である。



春とはいえ、未だ夜は真冬並みの寒さ。だがしかし、身はどんなに凍っても心は至って常夏。



ベッドの上で俺に組み敷かれ、

「ダメっ、浩平……頭ん中おかしくなっちゃう……」

薄く開かれた眼差しで艶やかに俺を見上げ、消えそうなほど細い声で懇願する杏奈。



けれどそれは俺にとって、『称賛』でしかなく。

益々この、艶めかしい行為に没頭する俺。






結婚相手に求める条件(俺バージョン)。


いち、身体の相性が抜群に良い。

に、誰よりも俺を愛している。

さん、一緒にいて疲れない、楽しい、飽きない。



家事ができるとか、男にとことん尽くすタイプだとか、ここぞって時に男を立てることができるとか、そういうのはどうでもいい。


強いて言うなら……子ども好きであること、ぐらいかな。俺が子ども大好きなんで。



改めて考えてみると、杏奈はこの条件全てを文句なしに満たしているわけで……。



結婚するなら、相手は杏奈以外考えられない。

そして俺は今、温かい家庭というものに憧れている。


回りくどい表現は止めよう。



俺今――

――無性に結婚したいんです。


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