「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
そして、束の間の重い沈黙。

國枝くんが去らないから、私たちも歩き出せない。



やがて、國枝くんの方から沈黙を破った。


「君ら、もしかして……」


『……付き合っている?』

続きは眼差しだけで問う。



咄嗟に米山の手を取っていた。


「うん、付き合ってる。だから、そんな目で私のこと見ないでよ」

思いっきり微笑んで、大きな嘘を吐いた。



明るく振舞ったのは、強がりなんかじゃない。


付き合ってはいないけど、完全なる片想いだけど、でも今は、無愛想で態度のデカい、おまけに図体もデカいこの男が好きだ。



「『そんな目』って?」

困ったように眉を寄せて、國枝くんは苦笑した。



「同情してる目。私のこと、可哀そうなヤツとか思わなくていいから」

(罪悪感なんか持たなくていいから)


「そんな風には思ってないけど……」

良かったな、と続けて國枝くんは穏やかな笑顔を見せた。


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