「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「ちょっと! 私が好きでもない男に抱かれるような、そんな、ふしだらな女だと思ってんの?」

掴みかからんばかりの勢いで捲し立てた。


少しだけ身を反らして引き、両手の平を私に向かってかざして見せた米山。


「別に『ふしだら』とは思ってな……」

そこまで言って「ん?」と、何かに気付いたように小首を傾げた。



「俺、なんかメチャクチャ重要なこと見落としてるか?」


「見落としてるよ、この鈍感ヤロウ!」

思わずそう叫んで、こちらに向けられている二つの手の平を、両手でギュッと捕まえた。



「好きだよ、米山……大好き……」

ずっと伝えたかった言葉が、私の口からスルスルと流れ出た。



「まじか。何やってんだ、俺。欲望に負けてお前のこと抱いといて、なのに今まで通り普通に接してくれとか――

鬼畜だな」


「鬼畜だよ。ほんと酷いよ。それで私がどんなに傷ついたか……」


そしてまた、私の口から嗚咽が漏れ出た。ボロボロと、目から溢れ出したものの止め方を、今の私は知らない。


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