【完・短編】届かないラブレター。
「何で?」
私はそう返すのがやっとだった。
だって嫌いなんて言えるわけないじゃん。
でも仁の瞳はあまりにも真剣で「嫌いじゃないよ」なんてとても言えなくて。
仁の大きな黒目がちの瞳に写る私は、笑っちゃうぐらい戸惑ってて。
私ってこんなに嘘下手だっけ?と思ってしまった。
『んじゃ好きなの?』
何で仁はこんなにこの質問にこだわったの?
どうして私にこんな質問をするの?
仲の良い友達が自分の好きな人のことを嫌いだったら悲しいから?
そう考えたら、もうどうでもよくなったの。
だからあんなこと言っちゃったの。
あれが本心なのか今でも分からない。
「そんなに千菜が大事なら仁がずっと傍にいて、仁が、仁が…仁が守ってあげれば良いでしょっ!?」
あの時の仁の顔が今でも忘れられない。
大きな瞳を更に見開いたかと思うと顔をしかめて……私を軽蔑した顔。
そう言って飛び出した教室。
あの時は昼休みで、皆どこかへ行っていて教室には私たち二人しかいなかった。
良かった、本当に、仁だけで。