16の月-過去に戻れたら‥【完結】
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pm20:25
コーヒーの甘い香りが漂う部屋の中で‥
「…疲れた?」
と俺はソファの上でもたれ掛かる由香里の髪を撫でる。
おでこに軽くキスをする。
大きく開いた窓から、漆黒の空が見える。
月は見えない。
だけど‥月なんて今はどうでもよかった。
これから、いつでもどんな時でも沢山見れるのだから‥。
「うん、少し‥泣きつかれちゃった」と笑う由香里。
「色々、あったね‥」
「うん‥」
そして俺は、手を握りながら
「今は幸せか?」と尋ねる。
由香里は、
「今までで一番幸せ」
と笑った。