16の月-過去に戻れたら‥【完結】
お経を唱える声とすすり泣く声。
葬式でもないのに、
総勢200人を超えているのではないかというくらいの人、人、人。
明らかに地元の新聞記者らしき者までまざっていた。
参列者の中に立ち並び、順番を待つ。
お棺の近くまで行った時に、吉村さんとまだ小学5年生くらいの
男の子が泣きじゃくっていた。
やはり、どんな形であろうと父親の命を奪われたら憎いであろう‥
学校で高宮さんに対する仕打ちを見ていたらやり過ぎだとも思えた
けれど…
憔悴しきった吉村さんと弟、それに吉村さんのお母さんの
顔を見たら、納得せざるを得なかった。
僕が手を合わせたと同時に、会場がざわついた。
僕は振り返る。
一斉に会場の人達が振り返っていた‥。