マー君(原作)
席は店の奥の方で周りの茶色い壁には色んな鳥の写真が貼られている。

白鳥、白鳥、白鳥、烏というふうにだ。

何故一枚変な写真があるかわからなかったが、きっとここの店長は白と黒が好きなのだろう。

洋太は正面上にある電柱に留まる烏の写真を見て、ぽつりと呟いた。

「今回の記事、なんかヤバイ気がするんだ。こんなありえない話を記事にしたら、どうなるかわからない」

「それ、いつものことでしょう? 洋太はオカルトの記事を書くのが仕事なんだから」

桂子はカップを置き、テーブルの上で両手を握り、リラックスしたように背もたれに寄り掛かる。

「その記事、マー君の記事だけど、実際あちこちで話が出回ってるんだから、全く信じられないとも限らないわよ。

あー要するにね」

また前かがみになり、洋太に顔を近づける。

「ただ考え込んでても仕方ないってこと。後は記事を出してから考えればいいじゃあない。洋太は記者なんだから。内容がどうであれ。

それとも信じられない? 自分の書く記事が」

「それは……」

桂子は大きく息を吐くと、呆れたように言った。

「ありえない、洋太はそう考えているのかもしれないけど、私からすればあなたのような記事を買う人は、『ありえない』を求めているのよ。

当たり前のこと書かれた記事を読んでも面白くないでしょ? 購読者、読者は当たり前よりありえないことの方が好きなのよ。そこに未知なる可能性を見出すから。

退屈しきっている人々には刺激が必要なの」

「そりゃあ……」
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