マー君(原作)
<14>
俺は昔、親友がいた。
俺と良一と、もう一人。
だが、思い出せない。何故か、わからない。とても大切なことなはずなのに、思い出せない。
きっと忘れようとしているのだ。逃げようとしているのだ。
「そう、俺は忘れようとしているんだ。現実から目を背けようとしているんだ。きっと」
高校時代の自分がそこにいた。
洋太の前には倒れる良一が。
あれほど探していた良一が足元にうずくまっている。黒い学ランを着た二人は、ただ黙っていた。
親友だった。
そう、だった。
過去と今は違う。俺は現実から目を背けていた。だから、あの時何も感じなかった。俺の記憶にこいつはいない、そう思いたかったのだ。
「洋太、どうした? はよ、やれよ。さっきみたくもう一発かませよ。それとも、俺に代わるか?」
男子トイレにいる四人の生徒。一人は床に倒れる良一。もう一人はその目の前に立つ洋太。そして、その後トイレの鏡の前に洋太の仲間が二人、にやにやしながら洋太を見ている。
わかってるんだ。俺は、自分が何をしているのか。逃げられないことも。
逃げようとしても、現実はそこにある。
そうこれが現実だ。
俺は昔、親友がいた。
俺と良一と、もう一人。
だが、思い出せない。何故か、わからない。とても大切なことなはずなのに、思い出せない。
きっと忘れようとしているのだ。逃げようとしているのだ。
「そう、俺は忘れようとしているんだ。現実から目を背けようとしているんだ。きっと」
高校時代の自分がそこにいた。
洋太の前には倒れる良一が。
あれほど探していた良一が足元にうずくまっている。黒い学ランを着た二人は、ただ黙っていた。
親友だった。
そう、だった。
過去と今は違う。俺は現実から目を背けていた。だから、あの時何も感じなかった。俺の記憶にこいつはいない、そう思いたかったのだ。
「洋太、どうした? はよ、やれよ。さっきみたくもう一発かませよ。それとも、俺に代わるか?」
男子トイレにいる四人の生徒。一人は床に倒れる良一。もう一人はその目の前に立つ洋太。そして、その後トイレの鏡の前に洋太の仲間が二人、にやにやしながら洋太を見ている。
わかってるんだ。俺は、自分が何をしているのか。逃げられないことも。
逃げようとしても、現実はそこにある。
そうこれが現実だ。