マー君(原作)
「うっ……」

成幸は具合が悪くなり、頭を抱えて、前屈みになった。

こうしていれば、少しは楽だ。

だが、自分の顔を隠す形になるのはまずい。

が、顔を上げように身体が怠く、動かない。それに頭が痛くてたまらない。前から痛みはあったが、最近かなりひどい。それにあの虫の夢ばかり見る。頭の中で虫が蠢いているのを。

もちろん、それはJCOで見た情報が原因だ。Mウィルスのあれが。あれを見たら、こんな被害妄想を抱いても仕方がない。

そう、これは妄想だ。俺はいたって正常だ。そう――。

顔から汗がポタポタ滴り落ち、足元の赤いレンガを湿らす。汗はレンガに落ち一瞬にして蒸発して消えた。

成幸はなるべく暑いことを考えないように勤めた。何か別なことを考えよう、そう思った時、胸に激痛が走った。

そして次の瞬間咳込んでいた。

「な、なんだよ、これ」

口に宛てた手を放す。

その手は赤く染まっていた。

その鮮血に見入っていると、目の前で誰かが立ち止まった。

ゆっくり顔を上げる。そこには少女が立っていた。

彼女は小学生だろうか、赤いワンピースを着て麦藁帽子を深々と被っている。

恐らくさっき日陰で休んでた子だろう。その子は俯いたまま黙っている。

成幸は暑さに堪えながら、少女に話しかけた。
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