マー君(原作)
凪は顔を上げ、黙り込んでいる両親を見た。二人とも眠っているように動かない。

しかし、二人は気絶しているだけだ。凪がそうしたのだ。自分の手で。

もしこの状況を写真や動画にして掲示板に載せたら、両親は警察に連れていかれるかもしれない。

この巨大掲示板はかなり有名だ。警察が見てる可能性だってある。それに−−。

両親を晒し者にしたくなかった。こんな苦しんでる両親を見せたくなかった。

「どうしたらいんだ。父さん、母さん。僕は強い子なんだよね? だったら、教えてよ。どうしたらいいか」

しかし、両親は反応しない。やはり駄目だ、そう思いもう一度パソコンに向き直る。

その時微かに聞こえた。

声が。

黒の仮面−−。

そう聞こえた。凪は両親に向き直ったが、さっきと同じく二人とも黙っている。

どっちが言ったのかわからなかったが、凪はその言葉に思い当たる所があった。

「黒の仮面−−」

それはあの海岸で会った水月雨が、口にした言葉だった。凪は再度その言葉を呟いた。

「黒の仮面。あのお姉ちゃんが言った言葉」

なぜかその言葉に希望を感じた。
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