マー君(原作)
<15>

ガタンガタンガタン!

ドアを叩く音が大きくなる。そして――。

バーン!

ドアが破られた。勇気は暗闇の中、携帯の画面を見ていた。

画面から薄明かりが漏れ、顔をぼんやりと照らしている。

息を殺し、画面を見ていると、奴が部屋の中に入ってきた所だった。

奴は鎌をぶら下げながら部屋の真ん中まで進むと何かを探すように周りを見回した。

「どごだ、どごにいるの? ゆうぎぐん、ででぎて」

ひび割れた声が聞える。

勇気は暗闇の中じっとしていた。

この中は蒸し暑くて死にそうだった。

だが、本当に死ぬよりはましだ。

画面を見ると、奴は八つ当たりのようにベットの毛布を切り刻んだ。

その度にザクッ、ザクッと不快な音が聞える。

まるで肉を裂くような音が。

自分も見つかればああなるのだろうか。

そう思うと、息が詰まりそうだった。

「いない、いない、いない」

ベットの下を覗きこんでいる。

あそこに隠れていたら、今頃どうなっていただろう。

奴は立ち上がると、首をゴキゴキとまわした。

もうあれが人間とは思えなかった。

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