マー君(原作)
雫は綾から返事が返ってくるまで携帯を見つめたまま、あの時の出来事を思い出した。


今思い出すと、寒気がする。

恐ろしい光景がまだ頭から離れない。

たった一瞬のことだったのに――。

悪夢だった。まさかあんなことになるなんて。

まるで、噂がそれを引き寄せたかのように、あの時はやってきたのだ。

あれを見てながらこうして、気楽にメールをしていられるのも、きっとその現実を認めたくない、逃げたいからだと思う。

メールをすることで、精神を安定させる。

不思議なことだが、今の私にそれしかできない。

それに、認めたくないのはきっと――。

きっとあれがただの自殺じゃあなかったからかもしれない。

ただの自殺じゃあ――。
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