淡い初恋
私は、これ以上他の女と親しげにする千堂くんを見るのが辛くなり自分から距離を置くと、自分に言い寄ってきた男と交際した。

でも、幾ら好きと言われてもキスをされても体を重ねても心までは空虚のままだった。彼とは別れ、また別の男と付き合う。その繰り返し。それでも私はまだ千堂くんのことが忘れられなくて、彼と別れたことを毎日後悔した。


高校を卒業して、大学に入った頃そこで知り合った友達に合コンに誘われ、私は渋々参加した。するとそこには更に垢抜けて格好良くなった千堂くんも同席していた。

彼が少しでもヤキモチ焼いてくれないかなと期待して、周りの男性陣に媚を売った。すると彼が席を外したので、私も隙を見て席を外した。

トイレの前で待っていると千堂くんが出てきたので「久しぶり」と声をかけた。「あぁ。」と彼が応えると「ねぇ、髪茶髪にして、パーマもかけたんだね!格好良い!前の黒髪のサラサラヘアーも似合ってたけどこっちの方がワイルドで大学生らしいね!」と私は大絶賛した。彼は、「あぁ、どうも。」と言うので「私はどうかな?」と聞くと「あぁ、パーマ似合ってんじゃん?俺は好きじゃないけど。」と素っ気なく彼は応えた。私はフッと笑うと「相変わらずね。」と応えた。私は、ふ~っと一息つくと今まで思ってきたことを正直に言った。

「私、ずっと千堂くんと別れて後悔してたの。今更、『光源氏』と言われてる意味分かってきた。千堂くんはモテる。だから、その他大勢の可愛い女性のいる中で、私を選んで抱いてくれたこと感謝してるの。」と言うと彼は、フッと笑い「基本、来る者拒まずだからな。」と皮肉を言ってきた。

私は、今度こそ・・・と思い、彼の腕にしがみつくと「ねぇ、今夜一緒に過ごさない?」と誘った。彼は、「別にいいけど。」と応えると私達は、合コンを抜け出し、ラブホ街へと足を運んだ。

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