淡い初恋
「あら、おかえり。」そう言うと母は鏡に向かって厚化粧をしていた。これから愛人のところに行く支度をしていると見て取れる。
「何、その顔?男でも出来た?それとも二股かけたとか?やっぱあんたも私と同じ人生を歩むのね。」と言ってきた。あんたと一緒にしないで欲しい。
「じゃ、私は出るからお留守番よろしくね~。」と色っぽい声を出すと家を出て行った。


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「なんで、1位を取れないんだ!俺の顔に泥を塗るきか!」

「まぁ、まぁ、父さん。落ち着いて。」

「ヒロシ、お前だけは父の期待を裏切るなよ。」

「分かったよ、父さん。」

「玲奈!お前も兄を見習え!!」と言うとバタンとドアを大きく閉めて出て行ってしまった。

「あぁあ、また父さんを怒らせちゃったよ。お前のせいだからな。」

そう言うと兄もどこかへ行ってしまった。

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「お母さん・・・・。」

「悪いけどこの後、行かなきゃいけないところがあるの。ねぇ、私の赤いルージュ知らない?」

「知らない・・・・。」

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「何、その顔?男でも出来た?それとも二股かけたとか?やっぱあんたも私と同じ人生を歩むのね。」

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「俺、お前のそうゆう傲慢なところが前から嫌いなんだよな。」

。「確かにお前は俺の体を手に入れた。だけど、俺の心までは手に入れられると思うなよ。」

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私は、自分の部屋に戻ると引き出しを開け、奥に閉まっていた箱を取り出した。その中には昔、母親の愛情が欲しくて盗んだ赤いルージュが入っていた。


ふっ・・・・・
自嘲気味に笑うと私は悟った。

私は、誰からも愛されていない・・・・。

そして孤独になった。
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