深層融解self‐tormenting◆番外編◆
なんで庵が華音を……。つーか、どこに連れて行った?



まさか……。



「お兄ねぇ、今日はあの女の子にすごくベタベタしてて気持ち悪かったよー。あの子、温和ちゃんの友達だっけ?庵に任せて大丈夫?あの子の事狙ってたよ、庵」



大丈夫なわけねーだろ!!


庵が行きそうな場所っつったら、きっとあそこに違いねぇな。


ホストクラブ[Word]。

庵がオーナーを務めてる店。





俺と華音の分の荷物をお袋に押し付けて、財布だけを手にタクシー乗り場へ全速力で走った。




……華音達はいつ抜けたんだ?


まさか、庵が無理矢理華音を連れてったのか?





―――昔から庵は俺が持ってるもんに憧れてた。

それに、庵には意識されているってーのは、俺も昔からは感じてもいたんだが。




ガキの頃には他愛もない玩具だったりゲームだったり。


それから年が経つに連れて、その傾向は顕著に表れてきた。



今ではオンナだったり、クルマだったり…か。




俺が執心している華音に庵が何もしないなんて、まずあり得ない。


しかもアイツはあれでもナンバー付きのホストだ。オンナのオトす方法なんか幾らでも知ってるはず。

ツンデレな華音が易々と墜ちるとは思えないが、相手が庵となると……分かんねーな。




< 162 / 174 >

この作品をシェア

pagetop