深層融解self‐tormenting◆番外編◆
会場になってる居酒屋に入って隅っこの方に座った。


うわ、顔も知らない人ばっかじゃん。大体お酒なんて飲めないから、こんなとこ長居は無用だ。


どうやってこの場から逃げ出すかを考えていたら、全員で自己紹介に、という流れになった。……めんどくさっ……。


会場にいる人は皆合わせて20人ぐらい。人の顔も名前も覚えるのが苦手な私は、紹介される片っ端から忘れてしまっていた。


そんなやりとりを見ながら自分も自己紹介を終え、もう帰ってもいいだろ?なんて思ってたら、幹事の男の先輩がゲームをするぞ!なんて張りきりだした。



「今からやるのはァ…ストッキング綱引きィー!!!!」


……なんか激しく嫌な予感がする。


「ルール説明な!まず2人1組でやるから、誰かとペアを組んで。で、今ストッキングを配ってるから、そのストッキングを2つつなげ、それぞれ両端から頭にかぶれ。で、「go!!」 の宣言で。かぶった2人が引っ張りあって綱引きしろー」


……何が面白いんだよ、こんなゲーム!


「あ、ちなみに負けた方は一気飲み、優勝した人には豪華賞品がありまーす!」


フォロー役の女の先輩が言ったら、俄然場が盛り上がってしまった。


豪華賞品か。日用品とかなら欲しいかも……。


「華音ちゃんだっけ?俺、2年の熊谷。ペア組んでもいい?」

「え」

私のツレのコは、と探したら、ちゃっかりイケメンな先輩を掴まえて甘い声でおねだりしている。

この裏切り者め。


仕方がないので、その熊谷とか言う先輩とペアを組んだ。


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