深層融解self‐tormenting◆番外編◆
そんなこんなでようやく解放してもらえたのは、夜も11時を過ぎてからだった。


先生にはちょくちょくメールをしてたけど、心配してるだろうなー。


そして店から出て、人通りが少なくなった交差点で見つける…白いインプレッサ。


着いてこないでって言ったのに!


まさかずっとここで見張ってた訳!?

恐る恐るインプレッサに近づき、運転席を軽く叩いて先生の様子を窺った。


スルスルと窓を開けた先生の顔を見るからに、特に怒った様子は見受けられない。

「早く乗れよ。寒いだろ?」


良かった、機嫌悪くない。


安心して助手席に乗り込むと、先生がわずか3秒で80キロまで車を加速させた。


ここ公道!まだ対向車いっぱいいる!


大通りでこんなハイスピードで跳ばすなんて何考えてんの!?


機嫌が悪くないなんて勘違いしてたのに私が気づいたのは、先生がよく行く峠で、いつもよりタイヤを無駄に磨り減らした後だった。


……つまり、悲鳴も上げれないほどのドリフト捌きを見せつけられて。

しかも終始無言で。


これはこれで、おっかない。



まだ登りでタイムアタックをしそうな先生に、「……ごめんね。もうコンパなんて行かないよ。あの雰囲気嫌いだし」……そう告げると、ようやく先生が私の方を見てくれた。


「絶対ぇ行くな。行ったらお仕置き」

「……これだって十分お仕置きじゃん」


ほんと、困ったもんだよね。

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