オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
「ありがとうございましたー。またどうぞー」
DVDを袋に入れ、お釣りを渡し、笑顔を張り付けながら帰っていくお客さんに頭を下げる。
今のお客さんが借りていったのは、この前、違うお客さんが返しに来ていた『You're not being true to yourself』すなわち『それは本心じゃないね』という、あたし的にはぜひ店頭から消えて頂きたい、かなり気に入らない洋画だった。
「なに、流行ってんの!?」
次のお客さんがレジに来る様子はまだなく、気に入らないあたしは、画面に残っているその映画のタイトルを指で弾き、そう毒づく。
もし返しに来る日にあたしがレジに入っていたら、どこの国で撮られた映画が見てやろう。
いや、クレームをつけるつもりはないし、知ったところでどうするつもりもないのだけれど、参考までに知識として得ておきたいのだ。
それに、こうも立て続けにレンタルされていけば、嫌でも中身も気になってしまう。
「借りてみようかな……」
ぼそり、つぶやく。
夜もかなり暇になったし、正直、オトコの娘カフェでの竹山と葉司の様子もずっと尾を引いていて、ここ最近、羊を数える日数も数も、桁違いに増えていたりするのだ。