オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
「懸賞で当たったんだぁ。24日のイブ、大人2名さまご招待~!きっとすごく美味しいんだろうねぇ。七面鳥とか、食べたことある?」
「……、……。……いえ。ない、です」
「俺も俺も!」
「あと、ケーキバイキングも付いてるよ!まことちゃん確か、甘いもの好きだったでしょ?」
さらには、そう畳みかけられ……。
「うう、ちょっと考えさせて」
「はぁい」
ほら、あたし、釣られそうだ。
そうしているとDVDのレンタルのお客さんがレジにやってきて、あたしは仕事に戻り、先輩もまた、最後に「いいお返事待ってるよん」とウィンクをし、店内へ歩いていった。
葉司と別れたことを言うつもりはないものの、クリスマスディナーの誘いは、実に魅力的だ。
ズルい考えではあるのだけれど、どうにかして招待券を譲ってもらえないだろうか、などと、貸し出し業務をしながら本気で思う。
奈々には、予定があるとかで12月に入って早々に断られてしまったけれど、純平だったら、バスケ部の彼女がいない仲間同士で飲むだけだろうし、この際、バスケバカのゴリラと一緒にクリスマスディナーでも、全然オッケーだ。
茨城先輩よりはずっといい。