オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
えー……。
天真爛漫っていうか、破天荒っていうか、自分に素直っていうか、なんだかもう、メルさんについていける気がしません、あたし。
お店の営業時間が深夜までだったとして、そのあと、葉司から昨夜何があったのかと、あたしの部屋の場所を聞き、こうして様子を見に来てくれたのだから、口が裂けても「寝てくればよかったじゃないですか」なんて言えない。
けれど、あまりに怒涛の“眠い”発言に、一睡もしていないあたしの脳みそは限界を越える。
「あたしも眠いです。一緒に寝ましょう」
「そうね、それがいいわ」
と。
そういうわけで、狭いベッドながら一緒に横になり、しばらく睡眠をとることになった。
隣に誰か人がいて安心しきったのか、横になったとたんに睡魔が襲ってきて、羊を数える間もなく、あたしは深い眠りに落ちていく。
入眠の間際、かろうじて思ったのは、以前、メルさんのお屋敷にお邪魔させてもらった帰り、運転手の野宮さんから聞いた彼の頬の傷の話は本当だったんだなぁ、ということ。
疑っていたわけではなかったのだけれど、どうもあたしには次元の違う話に思えて、いまひとつ、リアリティがなかったのだ。