オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
メルさんの言い方がリアルすぎるからだからだろうか、ちょっと想像しただけで、あたしのこの失笑ぶりだ、実際に目にしたメルさんのドン引き具合は、想像するに余りある。
それにしても、だ。
茨城先輩から助けてくれたときといい、ビルの壁に八つ当たりしていたときといい、葉司がそこまで飛び蹴りが得意だったとは知らなんだ。
つき合って1年、別れてから約2カ月での新事実に、あたしは驚きを隠せない。
「……まあ、愛菜のパンツのことは、とりわけ重要じゃないの。あたし、愛菜が疲れ果てるのを待って言ったわ。そんなことをしている暇があったら、さっさと彼女を追いかけなさい、今からでも遅くはないわ、って」
「そしたら、葉司はなんて?」
しかし、そんなあたしには構うことなく、葉司のスカートの中の残像を頭の隅に追いやったらしいメルさんは、話の続きをはじめる。
あたしもそれに倣って想像をかき消すと、あのあとのことを唯一知るメルさんにそう尋ねた。
「あの娘、なんて言ったと思う?」
すると、メルさんは心底不愉快だ、という顔をして、逆にあたしにそう聞いてくる。
あたしはしばし考えて。
「なんて言ったんですか?」
逆の逆で聞き返した。