オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
「いやいや、こっちの話です。それで続きなんですけど、メルさんに謝ったあと、葉司はどうしたんですか? お店に戻って、お客さんの相手をちゃんとできたんでしょうか?」


そう言って、あたしもメルさんの真似をして、うふふっと笑い、話の続きを請う。

このことは、いったん持ち帰らせてもらって、じっくり、じっくり、あたしがしっかり納得するまで考えさせてもらえたら嬉しい。

とはいえ、メルさんにとっては過去のことで、今さらあたしが何か言ったところで、逆に返事に困らせてしまうだけかもしれないけれど。


「そうねぇ。ちゃんと、っていうほどでもなかったけれど、それなり? まあ、事情が事情だし、何かを吹っ切るみたいに躍起になって接客をしていたように、あたしには見えたわね」

「で、ですよね……」

「うふふ。ダンスのキレがすごかったわ」

「はは。でしょうねぇ」


ダンスをしている葉司を想像すると、いまだにビミョーな気分になるのは否めないけれど、それでも、それなりではあれど、無事に接客をできたことについては、ほっとひと安心だ。

葉司のオトコの娘化のそもそものはじまりは、激烈なお父さんへの反発、つまりは、誰かに優しくしてもらいたい、という思いからである。
 
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