オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
また笑ったな!? ちんくしゃって言ったな!?
だからその、ちんくしゃってなんだ!!
なにさ、そっちはニット帽とサングラスでほとんど顔を隠しているくせに、あたしだけ顔を晒け出してフェアじゃないじゃないのさ。
……て、違うか。
まあ、あたしが言いたいのは、自分で自分の顔のことを面白おかしく表現するのはいいのだけれど、初対面の男に、しかも、この通りのいけすかない男に、そこまで言われる筋合いはないのではなかろうか、ということだ。
それはさておき。
「決着はついている、ってどういう意味よ」
心が折れそうになったところを、なんとか踏ん張り、立て直し、竹山に聞いてみる。
あたし、あなたと勝負をした覚えはないんですけど!と、ふんと鼻を鳴らすのも忘れない。
「ったく。バカか、あんた。どうせ、そんなんだからフラれたんだろ? 別れてもこうやってしつこく付きまとって、俺と愛菜ちゃんの仲を邪魔して。マジで未練がましい女」
「……っ」
けれど、1を言えば10を返してくる竹山に見事に打ちのめされてしまったあたしは、言葉に詰まり、奈々にわーんと泣きついてしまう。
この人、ほんっと、やだ。