オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
そのときと今とでは状況が違っていて、その台詞が持つ意味合いも違うけれど、これで1人で抱え込んでいる愛菜の気持ちが少しでも軽く、楽になるのなら、それでいいと思う。
「マコ……ごめん」
「謝らないでよ。自分の中でちゃんと答えが出るまで、悩んで迷って、考え抜いたらいいさ。それにあたし、愛菜ならそう言うんじゃないかって、ちょっと思ってたんだよね」
「ありがとう」
「ううん。えへへ」
そもそも、あたしが今日、ここへ来たのは、竹山と×××になってしまうかもしれない愛菜を止めるためで、ヨリを戻すためではないのだ。
そのことに関してはどうとも言えないわけで、竹山にも直接「やめてほしい」と言えたのだから、本来の目的はもう果たされている。
さっきメルさんは、竹山に「お引き取り願えますか?」と言ったのだけれど、むしろ、長いこと店内の楽しい雰囲気を大いに阻害しているあたしこそ、お引き取りせねばなるまい。
ということで。
「帰ろう、奈々。言いたいことは言えたし、もう長居するのはよそう。……は、恥ずかしい」
「……うん。そ、そだね。あたしも急に恥ずかしくなってきちゃった。帰ろうか」
「ぜひ、そうしよう」