オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
だんっ、とテーブルを叩き、キッとあたしに顔を向けた奈々は、その少しばかりキツい口調とは裏腹に、目にいっぱい涙をためていた。
ああ、相当、心配をかけてしまっているよ……。
しかも、新年早々、泣かせてもしまった。
けれど、納得はしてもらえないかもしれないけれど、どうしてあたしが葉司にああ言ったのかをきちんと話しておかなければなるまい。
絶交されてしまっては、今度はあたしが泣く。
「ごめんね、奈々……。でもあたし、どうしても『葉司は男なのよ』って言えなかったんだよ。だってさ、きっと葉司も今、前のあたしみたいに“分からない”んだと思うのよ」
「……、……。……ん」
「あたしはほら、ずいぶん前に、悩んだり迷ったり、考えるのをやめちゃったでしょう。だから葉司には、納得するまでそうしてもらいたいんだよね。……あ、これ、別れさせられた腹いせじゃないからね。そこまで性格悪くないよ?」
「ぷっ。分かってるって」
奈々に少し笑顔が戻り、ほっとする。
特にそういうつもりはなかったのだけれど、勝負だと言って乗ってきた竹山のことは、一体どんなアプローチをするのだろう、という懸念があり、相変わらず気がかりではある。