オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
けれど、竹山はそう言ってあたしをビシッと指さすもので、あたしは今度は、正真正銘の露骨に嫌な顔をして、1歩後ずさった。

なぜにあたしに用があるよ。

しかも、また“ちんくしゃ”言われたし。


「なんだお前、その嫌な顔は。俺に待たれるのがそんなに苦痛なのか。ちんくしゃのくせに」

「そっちこそ!嫌な顔をしてほしいのか、そうじゃないのか、どっちかにしてよ!」

「俺の気分次第だ。うっさい、黙れ」

「~~~~っ!」


なんなんだ、こいつは、もうっ。

竹山の気分次第で表情を変えられるわけないじゃないか、エスパーじゃあるまいし。

俺様すぎるぞ、竹山。


「それはそうと、どういったご用事ですか、竹山さん。会って早々、急かすようで悪いんですけど、これからスーパーのタイムセールに行かなくちゃなんですよ、あたし。できれば手短にしてもらえると助かるんですけど」


けれど、気を取り直してあたしは言う。

奈々と一緒のところへ純平が来なければ、今日は冷蔵庫にあるもの整理でパスタでも作ろうかなー、と思っていたのだけれど、時間ができ、気分はすでにビーフシチューなのだ。

大した用事じゃなかったら、はっ倒すぞ。

いや、しないけれど。
 
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