オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
そうして竹山の顔を窺っていると、彼は吐き捨てるように、心底つまらなさそうに言う。
「幻滅だ。俺ばっかりバカみてぇ」
「……は? え、な、何が?」
「お前のことだっつの。勝負してる感じも全然しないし、俺ばっかり頑張ってて、なんかバカにされてるっつーか、お前の愛菜ちゃんに対する気持ちはその程度なのかって、腹も立つ」
「……そんなこと言われても」
よく意味が分からず聞き返すと、竹山からはそんな返答が帰ってきて、けれど勝手に幻滅されたり腹を立てられても困るあたしは、ギロリと睨みつけられて怖いながらも、そう答える。
竹山は何か勘違いをしているのではないのだろうか、そもそもあたしは、葉司をかけて竹山と勝負をしているつもりは全然ないぞ。
“待つ”ということなら、いつも葉司を待っている竹山と、葉司の気持ちの整理がつくのを待っているあたしと、共通点はある。
最近は胸がモヤモヤして落ち着かなくはなってきているし、あたし自身の気持ちも、どこに向かっているのか分からないのは事実だ。
ただ、重ねるけれど、竹山と勝負をしているつもりはないし、考え抜いた末に葉司が竹山を選ぶというのなら、受け入れる覚悟はしている。