オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
「だーっ。バカか、ハゲろ!」
「なんでよっ!! 竹山がハゲろ!バカ!!」
それを説明すると、竹山は髪の毛をもみくしゃにしながら地団駄を踏んであたしにハゲろと言い、あたしもまた、ハゲろと応酬する。
女の子に向かってハゲろと言えるとは、なんていう男なんだ、まったく……。
びっくりだ。
本当にハゲたらどうするよ。
「バカはお前だ!ちんくしゃ!! 俺が言ってんのは、そういうことじゃねぇんだよ。自分の気持ちに嘘ついてるあたし超カッケーべ!とか思ってんじゃねーぞ、薄らハゲっ」
「なっ!思ってないよ!そもそも、そんなふうに自分に酔ったことなんて一度もないしっ!! てか、薄らハゲってなんなの!? 精神的にうっすらハゲてるって、そう言いたいの!?」
薄らハゲとはまた、辛辣な……。
おそらく竹山は、まだあたしが葉司のことを好きで、しかしその気持ちに嘘をつき、葉司と距離を置いていると、そう言いたいのだろう。
そして、ライバルとして正面から張り合っていないこの現状を、良しとはしていないのだ。
それらを、自分に酔っている、というような言い方で簡単にまとめてしまうとは、なかなかの暴言であるし、精神的ダメージも大きい。