オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
そうして純平のことを一段落させると、あたしは改めて座り直し「でね」と言葉を続けた。
いよいよ、本題中の本題である、葉司父からの言づてを伝えるときがきたのだ。
「あわわわわー!」
けれど、その段階になって、なぜか葉司は急にあたしに背中を向け、両手で耳をふさぎながら体育座りをし、なんだかよく分からない叫び声を上げはじめてしまった。
それは、ちょっとインディアンっぽくて、この重要な局面においては不謹慎なのだけれど、あたし的には、かなり面白く、ツボだ。
だがしかし、笑う場面ではないことくらい、いくらバカなあたしでもわきまえている。
「葉司!? どうしたのよ、いきなりっ」
すぐさま葉司の正面に回り、そう尋ねた。
すると。
「言うな!聞きたくない!どうせ、俺の制服を着たところで分かりはしなかったんだ。オトコの娘なんてくだらない、そんなことにうつつを抜かしている暇があったら勉強しろ、って言ったんだろ!? 親父のことは、俺が一番よく分かってるんだ。わざわざマコの口から聞かなくたって、それくらい分かるんだよ!」
「葉司、落ち着いて!違う!」
「違わないっ!!」
「葉司……」