オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
むふふ、と含み笑いをしながら、奈々が噴き出したコーヒーの後始末を急ぐ。

実は、いつも迷惑をかけているし、たまには自分の力で頑張ったところを見せたい、と思い、バレンタインデーの日のことは、奈々にはまだ報告をしていなかったのだ。


「むふふじゃないよ!もー、なんなの。だってマコ、考えてる素振りなんて全然してなかったじゃない。もちろん一緒に行くし、全力で応援だってするけど、まずは教えてもらわないと!あたしの知らないところで何があった!?」

「聞きたい?」

「話してくれなきゃ、一緒には行かん!」


そう言い、奈々はぷりっと怒りそっぽを向く。

まあ、当然のことながら、そうなるわな。

今まで散々、ああでもない、こうでもないと相談を持ちかけていたのだ、それが今回は、もう答えが出ており、あとは『ねこみみ。』まで一緒についていくだけだなんて、奈々にとっては面白くないことこの上ないはずである。


「じゃあ、長くなるけど話すね」

「ん。頼むわ」


そうして、奈々の前に新しく淹れたコーヒーを置くと、あたしは奈々に報告していなかったバレンタインデーの日のことや、その後の気持ちの移り変わりを順を追って話していった。
 
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