オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
「えっ!? マコ、メルさんの裸を拝んだの!? なんでいっつもマコばっかり!! ズルい!! 誘ってよ!! あたしだって見たいっつーの!!」

「いや、奈々、大事なのはメルさんの裸じゃなくて、お勉強した内容のほうだよ。それであたしはちゃんと答えを出せたんだから」

「うるさい!」

「……」


メルさんに呼び出され、竹山に焚きつけられて作ることになったチョコをあたしが変わりに作ったことや、その後の、メルさんたち“オトコの娘”が人を好きになる基準をお勉強したくだりでは、奈々はこの通り、荒れる荒れる。

あたしだけがメルさんの裸を拝めたことに、たいそうご立腹で、挙げ句の果てに「眼球をよこせ!」と、わけの分からないことを言う。

おそらく、あたしの眼球にメルさんの裸の残像が残っているだろうからよこせ、という意味だと思うのだけれど、たとえあたしの眼球をはめて見たころで、どうにかなるわけがない。

……その発想、怖すぎる。


「まあ、いいや。で、続きは?」

「あ、うん」


荒れに荒れて落ち着いたのか、意外とあっさり次の話を促す奈々に、内心、超怖えぇぇ……!と思いながら、しかし気が変わってもらっては困るため、急いで続きを話す。
 
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