オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
都会の男の子にも、優しい子がいるんだ……。
せいぜい、そういった感想を持ったことくらいしか覚えておらず、目がかすんでいたため、顔もはっきりとは見えなかったのだ。
「よかったら、これ。どうぞ。さっき自販機で買ったばっかりだから、まだ冷たいはずです」
「え……」
「電車酔い、しちゃったんですよね? 俺も今の電車に乗ってたんですけど、あまりにもキツくて。つい、降りてきたんです」
若干、顔色がすぐれない様子の彼は、あたしにペットボトルのお茶を差し出し、そう言う。
な、なんてご親切な……!
自分も電車に酔って降りてきた仲間だというのに、あたしのほうが具合が悪そうだから、という理由でお茶を譲ってくれる、この並々ならぬ優しさは、一体どこからくるのだろう。
ああ、顔がはっきり見えなくて申し訳ない……。
「すみません、ちょっと飲んだらお返ししますので……。ありがとうございます」
「ぷっ。ちょっとと言わず、全部飲んでいいですよ。その代わり、隣、いいですか?」
「え、あ。はい」
2人掛けほどの小さなベンチに、半ば横たわるような形で座っていたため、荷物と体を端によけて、彼が腰を下ろせるスペースを空ける。