オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
せめてもの救いは、奈々がいてくれることと、あたしのほかにも“オトコの娘"をカミングアウトされた女の子たちがいて、みんなそれぞれに自分の答えを出せたという実績があること。

ほかの子たちができたんだもの、あたしにだってできるはず、とちょっと勇気づけられる。


奈々の言う通り、時間はかかるかもしれない。

けれど、そうして悩んだ結果にあたし自身が自信を持って“こうしたい"と言えるなら、どんな選択をするにせよ、満足できるはずだ。

うん。


「ありがとうね、奈々。こんなこと、誰にでも言えることじゃないからさ……。話を聞いてもらって、だいぶすっきりしたよ」

「そう? ならいいけど」

「うん、あたしなりに考えてみる」

「応援してるよ」


それからあたしたちは、“オトコの娘"の知識を深めるため、ハンバーガーを食べながらそれぞれに携帯で検索し、意見を出しあった。

葉司は女子高生で、メルさんは西洋のお人形さんみたいな格好をしていたけれど、画像を見てみると、メイドだったりゴスロリだったりと、一口に“オトコの娘"といっても、好みのファッションはさまざまなようだ。

しかも、そのどれもが可愛い。
 
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