オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
聞いたあたしがバカだったのだ。
奈々は昔から面白そうなことのほうに進む傾向があって、大学まで一緒の親友だもの、それくらいは分かっていて当然だけれど。
それでも、万に一つでも、客観的に考えを言ってくれることもあるのではないか、と心のどこかで思ったりもしていたのだ。
そうして激しく落ち込んでいると。
「いやね、マコ」
さっきまでの若干ふざけた調子から打って変わって真面目な口調になった奈々に名前を呼ばれて、あたしは奈々に目をやった。
すると、口調と同じ真剣な目とかち合う。
「今のはあたしの個人的な考えで、実際に葉司君のオトコの娘を見たことがないから、軽く聞こえちゃったかもしれないけどさ」
「うん」
「要はマコの気持ち次第なんだよ、やっぱり。分からないっていうのは、葉司君のことがが好きだから分からなくなってるんでしょ? 時間はかかるかもしれないけど、葉司君とこれからどうするかは自分で見つけるしかないよ」
「……うん、結局はそうなるよね」
「だと思う」
話は一周して、メルさんに言われたことと同じこと、つまりは、あたしが決めるしかない、という結論に落ち着いた。
とことん気が重いけれど、そうするしかない。