オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
次の瞬間、両腕でマルのサインを作ったあたしは、それを彼に向けて高く突き上げた。
こういう告白も、案外いいかもしれない。
一生忘れられない告白を受けたことに間違いはないし、これで気持ちの大きさを計るわけではないのだけれど、公の場で告白をしよう、という度胸に、あたしへの想いの大きさを、これでもかというくらいに思い知ったのだ。
嬉しいじゃないのさ、このやろー。
「好きだ、好きだ、大好きだーーーーっ!!」
あたしの出したサインに、さらにどっと沸き立つ広場には、彼の叫び声が響く。
そのあまりに威勢のいい叫びっぷりに、あたしはとうとう、声を上げて笑ったのだった。
その後。
おつき合いしましょう、と正式に葉司に返事をするのに、そう時間はかからなかった。
そうして、つき合いはじめてすぐの頃、実は春に、駅で電車酔いをしていたあたしにお茶を差し入れたのは自分で、大学でその話をしていたところを偶然聞き、運命を感じた、と、葉司が話してくれ、駅で親切にしてくれた正義マンと目の前の葉司が同一人物だったと知る。
それならそうだと、告白のときにでも言ってくれたら即オッケーを出していたのだけれど、葉司は、それはフェアじゃない気がする、と。
そう言うのだ。