オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
それはさておき。


「おい、ちんくしゃ、やっと本気になってくれて、俺も打ち負かし甲斐があるぞ。愛菜ちゃんは渡さない。目にもの見せてくれるわ!」


ルール説明もこれからだというのに、先走った竹山は、宣戦布告とばかりに噛みついてくる。

1月の末以来、久しぶりに会い、こうして顔をつき合わせているわけなのだけれど、ちんくしゃ呼ばわりされても腹も立たなければ、好きに言ってくれ、とあたしの心は妙に落ち着き払っているのだから、なんだか不思議な気分だ。

むしろ、ライバルとして認めてくれたがゆえの「カッパハゲ」発言が、今さらながらやけに嬉しく思え、頬が勝手にニマニマしてしまう。


「よっ、余裕じゃねーか……っ!」

「そういうわけじゃないよ。あたしの中で、全部に覚悟が決まったってだけのこと。それに、これでも竹山にはすごく感謝してるのよ。こんな場まで出てきてくれてありがとうね」

「なっ……!なんかムカつく!」

「ふふっ」


ほんと、竹山には感謝なのだ。

葉司……いや、ここでは愛菜か、もそうなのだけれど、急に告白大会をすることになったのにも関わらず、こうしてあたしにつき合ってくれているのだから、一言くらいお礼を言っておかなければ、罰が当たってしまう。
 
< 294 / 343 >

この作品をシェア

pagetop