オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*

VS.竹山!!〈後〉

 
「それでは、両者にステージ中央まで出てきてもらいましょう!皆さまから見て右手が、“オトコの娘”愛菜ちゃんラブの竹山篤紀君、左手が、元カノ、石田まことちゃんです!盛大な拍手で迎えてください!どうぞーっ!!」


パチパチパチー。

それから少しして、ステージの用意ができたとメルさんがスタッフルームのドアを開け、あたしは今、最後の決戦に臨むべく、司会を任されたアズミの紹介で、ステージ中央に進み出た。

客席のほうは照明が落とされ、椅子やテーブルの向きもステージに向けられていて、そのまん前の席には、奈々、メルさん、そして愛菜が、静かに竹山とあたしを見上げていた。


一方のステージ上は、赤青、黄色緑などの照明が、上から下からあたしたちを照らし、おまけにスポットライトまで当てられている。

加えて、竹山とあたしの間には大きなくす玉がぶら下がっており、どちらかに軍配が上がったあかつきには、それを割って、盛大に盛り上がろう、というシナリオまであるのだそうだ。


こ、凝っている……。

懲りすぎているぞ、メルさん……。

これらを用意するために、わざわざあたしをスタッフルームで控えさせたのだから、メルさんも奈々と似た者同士、つまりは、面白い方向に話を持っていきたい性分なのかもしれない。
 
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