オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
嬉しい。嬉しいよ、葉司。

今の言葉もそうなのだけれど、あたしが何よりも嬉しいのは、葉司が自ら悩み抜き、考え抜いて、あの“答え”を出せた、ということだ。

おそらく葉司は、以前からずっと悩み、考えていた、自分の中で曖昧になっている男とオトコの娘の“境目”に決着をつけたのだろう。

でなければ、フルで愛菜になっているときに自分のことを“俺”とは言わないはずである。

それがあたしは、一番嬉しい。


「俺ね、親父の一件のときのあの紙で、やっと吹っ切れたんだ。俺は俺のままでマコを好きでいようって。マコには負担ばっかりかけさせちゃって、本当にごめんって思ってる。この期に及んでまではっきりしなくて、愛想も尽き果てたと思う。だけど、マコを好きでいることだけは、どうか許してくれたら嬉しい……」


そう言うと、葉司はあたしを抱きしめる腕の力を弱め、密着していた体を少し離した。

そこで息ができるようになったあたしは、大きくううんと首を振りながら、可愛い可愛い女子高生の格好をしている葉司を見上げる。

ああ、いつ見ても、やっぱり可愛い……。

いやいやいや、大バカか、あたしは!!

葉司が今、最高潮に盛り上がっているのだ、あたしも気持ちを盛り上げなくては。
 
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