オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
そう自分を叱咤し、数度、大きく呼吸をしながら、徐々に気持ちを盛り上げていく。

こういう、しっとりとした場面においても、お約束のようにコメディ寄りの発想になってしまうのは、あたしが今後、威信をかけて直さなければならない、最重要な欠点である。


……それはそれとして。

葉司は、ステージの端で棒立ちになっている竹山に顔を向け、キュッと下唇を噛んだのち、覚悟を決めたように静かに言葉をつむいでいく。


「竹山さんは俺をずっと女の子として扱ってくれたし、それは、俺が一番望んでいた“誰かに優しくされたい”ことで、すごくすごく、感謝しています。さっきの告白も、俺にはもったいないくらいに愛がこもっていて、心にガツンときました。本当にありがとうございます」

「でも、って言うんでしょ、愛菜ちゃんは」

「……え」


すると、葉司の言葉の合間を縫って竹山がそう言い、ニヤリと笑うと、続けてこうも言う。


「そこのちんくしゃに抱きついた時点で、俺の失恋はもう決定だよ。だから、続きは言わないで。ありがとうって感謝してもらったところまでで終われば、フラれたことにはならないからね。……まあ、負け惜しみだけどさ」
 
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