オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
「うぉぉぉいっ!! びっくりしたぁ……!!」

「何事!? アラームなんて設定してないよ!?」


目が覚めるまで起きないつもりで目覚ましのアラームは設定していなかったし、もう起きてイチャイチャしていたし、せっかくの休日だっていうのに、バッドタイミングすぎる。

けれど、葉司と顔を見合わせ驚いている間も、携帯は鳴り止む気配はまるでない。


「もうっ!! 空気読めなさすぎ!!」


奈々か? 純平か? もしも純平だったら、坊主頭をさらに坊主に刈ってやる!

そんなことを思いながら、葉司から借りていた充電器から携帯を引っこ抜くと、なおも鳴り続けているそれの通話ボタンを乱暴に押す。


「もしもしっ!?」

『あ、マコ。あたしー』

「奈々……。どうしたんスか」


どうやら電話は、奈々からだったようだ。

あたしの不機嫌な声を聞いても少しも悪びれる様子はなく、早々に「今から葉司君と出てきてほしいんだけど」と、脳天気に自分の用件を伝えてくる奈々は、さすが親友と言うべきか。

ここのところ、何かにつけて「用事がねぇ……」「都合がよぉ……」と、あんまりつき合いがよろしくなかったくせに、わりといいご身分だ。
 
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