オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
「葉司が久々に休みでさ、あたし、今、イチャついてて、けっこう忙しいところなんだけど、それでも拒否権はないんだよね?」
『うん。ないねー』
「奈々のそういうところ、大好きだわ……。で、出てきてほしいって、どこまでなの?」
『マコの部屋がある駅の近くにミセドがあるでしょう? 西口を出てすぐの。そこー。純平とドーナツ食べながら待ってるわ』
「ああ、はいはい。そこなら、30分もあれば行けると思うわ。ちょっと待ってて」
あたしが通学のために普段使っている駅は、そこそこ大きい駅で、西口のほうが栄えているのだけれど、どうやら奈々は、そこのミセド付近から電話をかけているらしかった。
横断歩道のピコピコという音や、車が走る音、電車の走行音などが声に混じって聞こえてくるため、若干の聞き取りにくさは否めない。
純平も一緒だということらしいのだけれど、ほんっと、近頃の2人はよく一緒にいるものだ。
「ごめんね、葉司。奈々から呼び出し。葉司も一緒に来てって。純平もいるらしい」
「そうなんだ? えー、なんだろ」
「つき合う、って報告だったりして」
奈々との電話を終え、やれやれと出かける支度をしながら、まさかねー、と笑い合う。