オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
「葉司が久々に休みでさ、あたし、今、イチャついてて、けっこう忙しいところなんだけど、それでも拒否権はないんだよね?」

『うん。ないねー』

「奈々のそういうところ、大好きだわ……。で、出てきてほしいって、どこまでなの?」

『マコの部屋がある駅の近くにミセドがあるでしょう? 西口を出てすぐの。そこー。純平とドーナツ食べながら待ってるわ』

「ああ、はいはい。そこなら、30分もあれば行けると思うわ。ちょっと待ってて」


あたしが通学のために普段使っている駅は、そこそこ大きい駅で、西口のほうが栄えているのだけれど、どうやら奈々は、そこのミセド付近から電話をかけているらしかった。

横断歩道のピコピコという音や、車が走る音、電車の走行音などが声に混じって聞こえてくるため、若干の聞き取りにくさは否めない。

純平も一緒だということらしいのだけれど、ほんっと、近頃の2人はよく一緒にいるものだ。


「ごめんね、葉司。奈々から呼び出し。葉司も一緒に来てって。純平もいるらしい」

「そうなんだ? えー、なんだろ」

「つき合う、って報告だったりして」


奈々との電話を終え、やれやれと出かける支度をしながら、まさかねー、と笑い合う。
 
< 314 / 343 >

この作品をシェア

pagetop