オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
「ごめんな……。今さら話を蒸し返すみたいで悪いんだけど、俺たちからも、折り入って2人に話さなきゃいけないことがあるんだ」
「それで、茨城先輩もいるわけだね?」
「うん。あのときのあれは、やりすぎたって反省してる。詳しいことは席についてから聞いてもらってもいいか? ……まことさえ、嫌じゃなければ、ってところなんだけど」
さしずめ、席に残っている奈々は茨城先輩が逃げないように見張っているのだと思うのだけれど、その先輩は逃げる気はまるでないようで、ただ観念してうなだれているだけだ。
純平の話をおぼろげに聞きながら、おそらくこれは、事前に話し合われたシナリオのもと、あたしたちは呼び出されたのだ、と悟る。
現に、奈々に目をやると、電話をかけてきたときの強気な感じや、ミセドに入ったときの機嫌のいい様子からは一変して、しきりにジュースのコップの位置を微調整していたりと、どうにも落ち着かない様子だった。
「あんたたち、何か隠してたね? ……いいよ、先輩も無害になったみたいだし、愛菜もいてくれるし、どんな話か、聞いてみるよ」
「マジか!?」
「うん」
ここまで来ておいて、何も話を聞かずに帰るのは、いささかバカげていると思うのだ。