オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
けれど、間に合ったことと、奈々の機嫌が悪くないことに喜び勇んで駆け寄ろうとした矢先、純平のほかにもう1人、明らかにがっくりとうなだれている人がいることに気づく。
よく見てみると、それは茨城先輩で、一瞬にして全身に緊張が走り、同時に、なぜ3人が一緒にいるのだろうという疑問が湧いた。
「マコ、どうしたの?」
「……覚えてないかな? 2人と一緒の席に座ってる、あの男の人、クリスマスのとき、ラブホ前で愛菜が飛び蹴り食らわした、茨城先輩……」
「えっ!? あ、ああ!」
「うん……。今さら、なんでだろう」
あれから3カ月が経ち、その間にずいぶんとやつれてしまったようだけれど、遅くまで開いている美味しいケーキ屋さんがある、と騙してオトナのホテルに連れ込もうとした茨城先輩のことを、どうしたって忘れられるわけがない。
最初は、すぐに席に向かわないあたしに不思議そうにしていた愛菜も、はっと気づき、そこはやはり彼氏らしく、あたしを背中に隠すようにして、茨城先輩に鋭い視線を発した。
そうしていると、席を立った純平が、バツが悪そうな顔をしながらもあたしたちのところへ来て、ざっと経緯を説明してくれる。