オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
 
しっかり意味も分かっていて、雨降って、まで出ているのだから、最後まで言いきれそうなものだけれど、そこがどうにも、あたしだ。

ちょっと残念、というか、アホというか……。

でも、まあ、それも含めたあたしを葉司が好きだと言ってくれるのだから、結果オーライだ。


「うん、そうだね。なんか、前よりマコとの結びつきが強くなったし、純平とも奈々とも、これから、もっといい友だちになれそう」

「だねー。あと、茨城先輩ともね」

「……飛び蹴り、あとでもっかい、謝っとこ」

「あはっ」


“オトコの娘”なの、という、衝撃のカミングアウトからはじまった長い長い雨だったけれど、その雨が上がったあとには、以前よりも強くなった愛情や友情、人との繋がりが、虹のようにアーチを描いて結ばれている。

相変わらず、あたしたちとすれ違う人たちは驚いた様子で見ていくけれど、あたしたちさえ、しっかりとした絆で結ばれていれば、どんな逆境だって、何も怖くなんかない。


「そういえばさ、茨城先輩、愛菜を見てもびっくりしなかったし、何も言わなかったね。それって、どういうことだろう」


目的のお店に向かいながら、ふと、さっきから気になっていたことを口にしてみる。
 
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